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2020/03/01

『娘の友達』第30話「押しつけ」- 唐突にみえる美也の家出。親の押しつけ2連発は何を語るのか

あらすじ

市川晃介の家庭を、群馬に住む父母が訪問する。晃介の娘・美也の養育について叱責し、家業の酒屋を継げと迫る母。その夜、晃介は美也に如月古都との顛末を詫びるが、却って美也の逆鱗に触れてしまう。家を出る美也。

繰り返される問題

晃介の母は晃介にネガティブな言葉を連発し、「どうせいつかは戻ってくるのよ長男だから」と、親の希望を押しつける。晃介の父は、晃介の理解者ではあるが、晃介を擁護はしてくれない。晃介も古都ほどではないにしろ、毒親のもとで育ち、アダルトチルドレン(AC)として生きづらさを感じてきたことが示唆される。
晃介の詫びに、古都との交際については冷静な反応をみせる美也。美也が激したのはそこではなかった。

「おばあちゃん家に引っ越そうって言ったら 
どう思う」
「美也のためなら 
それもアリかなって...」

一見すると美也を気遣うように見えるこれらの晃介の言葉に対し、しかし彼女は言葉を荒らげ、家を出たのだ。

「勝手に...決めつけないでよ!!」
「お父さんは結局...いつも自分勝手なんだよ...!]」

ACは連鎖する。晃介の母親の「押しつけ」と、晃介の美也への「押しつけ」を並置し、世代間で問題が繰り返されることを示す描写は見事だ。
え、この程度で家を出るんだ? 唐突だけど思春期だから、まあそういうこともあるか。そういう読解でもよいのだが、実はストーリーの外で、型にはめようとする晃介の努力が繰り返されていたのではないかと考えてみることもできるのではないか。美也は父親が「いつも」自分勝手だと詰っているのだ。
「決めつけないでよ」と言ってからの美也は、晃介と話し合おうとせず、一方的に荷物をまとめて出ていく。彼女は大人しく親の言うことを聞くタイプではないようだ。だが黒と思ったら折り合いを付けられず、衝動的に行動する。第5話「逃避行」で晃介を連れて逃げたAC、古都と通じる行動だ。

※晃介の母は「釜めし弁当」を持参した。「峠の釜めし」はおぎのやが取り扱っており群馬県内では、「安中春奈駅」、「高崎駅」(以上北陸新幹線)、「横川駅」(信越本線)で販売されている。彼女は「お父さんが電車間違えたせいで...」と言っているが、標準的な語法としては新幹線を「電車」とは呼ばないだろう。そうすると、JR在来線または私鉄で高崎駅まで行き、そこから新幹線を利用する経路で東京方面の市川家に来たのだろうか。

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