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2020/03/01

『娘の友達』 第31話「娘の家出」 大の大人が半狂乱で仕事を忘れて娘を探す。これは美談なのか、それとも

あらすじ

市川晃介は、家を出た娘・市川美也を追い、渋谷を翌朝まで探し回り、大切な社用を忘れてしまう。美也はボーイフレンド(?)の三崎正一郎を頼って逢う。


家を出た美也は正一郎を頼って落ち合う。かつて晃介が古都と現実逃避したように。
晃介にはLINEで「友達の家にいるので心配しないでください」と美也からのテキストが入る。友達とは正一郎だろうか。それは晃介がいちばん心配していることなのだが。美也もそれを十分に知りながら、こんなメッセージを寄越したのかもしれない。娘の心配など考えずに晃介は如月古都と逢っているのだから、娘の自分が誰かとどこかにいても、貴方が心配するようなことではないでしょう、と。フツーの言葉のようでいて、晃介のような娘べったりの親父には突き刺さる刃だね。
考えてみれば、正一郎もまた「娘の友達」であるわけで、このタイトルが古都だけを意味するものでないとすれば、三崎はストーリーを大きく動かすもう一人のプレーヤーになるのかもしれない。第19話「軽はずみな同意」で、三崎は「あの如月とかいう女 なんかうさん臭いよな」と、古都を評する描写がある。この後、古都が学校で禁止されているバイトに就いていることを彼が知っていると明らかになるが、「うさん臭い」とはそのことを指しているのか、それとも古都のパーソナリティ上の問題を既に喝破していたのか。第27話「変と普通」では、晃介と古都の交際を確信した美也の前で動揺する晃介とは対照的に、古都の高校一年生とは思えない堂々とした対応ぶりを、彼は見ることになる。三崎の印象はどんなものだったたろうか。
娘の家出に対する晃介の動転ぶりは、見るに堪えず、痛々しい。まるで娘の家出は自分の失態であり、それを取り返そうとするかのように、半狂乱になって美也を探し回り、結果として自分の社用を忘れると言う、本当の失態を演じてしまう。晃介は娘と自分の人格の境界を見失っているようで、これもまたアダルトチルドレンとしての性質を表すものでないか。
家出して堕落するとしてもそれもまた娘の人生だ、俺だけの責任でもないし、しゃあない、などと開き直ることは、晃介にはできない(筆者ならそうするが)。警察に相談するということも思いつかないようだ。娘は親の元で、進むべき道を歩まねばならないのだ。彼もまた「こうでなければならない」と、意識しないままに美也を束縛しようとしている。
市川家の平和は、古都だけが乱したのではない。

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