あらすじ
娘・市川美也が心配で仕事が手に付かず、市川晃介は如月古都の幻覚を見るほどまでに精神的に追い込まれる。古都が持っていたレンズ付きフィルムのプリントを店から受け出す晃介。限界を迎えた晃介
古都ちゃんに惚れている筆者としては、もーいい加減、おっさんでなくて、古都ちゃんを見せろと言いたい。第30話からこっち、連載期間にして3週間も、ロクに古都ちゃんが登場しない。古都のいない生活を選択しようとしていた晃介も、今話で限界を迎えた。これが古都ファンの読者と晃介の、古都に対する飢餓感をシンクロさせる仕掛けだとすれば、やられました(笑)。企業の管理職としても、家庭の良き父としても、晃介は努力してきた。両方を完璧に務めようとして疲弊してきたのに、今やそのどちらも失敗した彼に、何が残されているか。会社にも行かず、牛丼の吉野家で呆ける晃介は、古都を幻覚に見る。組織人として、父として以外の人格を認めてくれた古都への依存を深める晃介だが、今はもう古都もいない。
彼が何事にも手を抜かず、だからこそ疲れることに気づいて「こうでなければならない」という思い込みから逃れようとするようになったのは、古都の力によるものだ。しかし、アダルトチルドレンを内部に宿す者同士の恋愛は共依存と紙一重で、危うさを感じさせる。晃介と古都の交際は、建設的なものになるのだろうか。
晃介が古都の「写ル〇です」から現像したプリントを持参する場所は、第10話「目印」で、かつて古都から呼び出されて会った同じ公園の同じベンチだ。この演出は、古都の撮った写真を見る晃介の感傷を美化するためか、それとも十代じゃあるまいし、このおっさん大丈夫なのと、読者に思わせるためか。
「娘の友達」講談社(萩原あさ美) 第10話「目印」から引用 |
晃介は当初、あえて写真を店に受け取りに行かず、そうすることでフィルムを処分するつもりだった。それは古都への想いを断ち切るのと同時に、そこに写っているものを見るのが恐ろしかったからではないか。第21話「同じ月は見ている」で、自分と古都の関係を「まさか美也にばらすつもりじゃないよな...?」と、晃介は自宅に美也を訪ねる古都の真意を測りかねている。第22話「10分だけ」でも、「俺がいないところで もし変なこと話されたら」と、古都の美也に対する言動を心配している。第23話「ひとひと」では、家族の写真を「写ル〇です」で撮影していた古都に、「迷惑」と言っているが、その写真をどう使うのかという疑念があったのだろう。古都を頼りながら、古都を信頼しきれていたわけでないのが、晃介の恋の苦しさの要因の一つだ。
古都への飢餓感にあえぐ晃介は、写真を見ることをついに決意した。
読者も古都の真意を掴めていないため、写真に何が映っているのか、固唾を飲んで次回を待つエンディングとなっている。古都ちゃんが見たい、でももしかしたら、とんでもない 「ファム・ファタールの大きな秘密」が映り込んでいるの? なんて...うまいよね。
0 件のコメント:
コメントを投稿
コメントありがとうございます♪